塗り替えワンポイント
建物をずっと美しく保ち、資産価値を下げないためには、こまめなお手入れが欠かせません。重症化するまで放っておくのではなく、軽症のうちに対策を打つことが、費用的にも心理的にも負担を軽くする秘訣。とはいえ、工事はやはり必要最小限ですませたいものです。そこで、建物に表れる「塗り替えのサイン」を、緊急度別にまとめてみました。この内容をご参考に、お使いの建物を見直してみてください。
鉄部は塗装から2〜3年後で錆び始めます。錆びは、塗装部の表面的な劣化とは違い、内部にまで浸透する性質のものです。腐食が進むと交換する以外に対策方法がありません。極力早めの除去と、錆び止め処理、塗装が必要です。
コンクリートのひび割れで怖いのは、建物の強度の問題より、浸水や漏水。水道管や排水管に影響が出て漏水すると、不良箇所を突き止めるために時間がかかります。また、長期間ひび割れを放置し、コンクリート内部に水が浸入すると、鉄筋や鉄骨の錆にもつながります。発見したらすぐに対策をするのが望ましいでしょう。対策方法としては、エポキシ樹脂注入などがあります。
サッシ部分などの防水用のシーリングは経年劣化しますが、放置すると室内に雨水などが浸入します。マンションの大規模修繕ではシーリング交換が基本。一般住宅では、劣化を発見したら水が浸入する前に交換するようにしましょう。
木部の塗装なら4〜5年、モルタルなら6〜7年程度ではがれが目立ち始め、塗り替え時となります。しかし、塗装よりも問題なのが防水面のはがれ。むき出しのコンクリートから浸水すると、内部の鉄骨が傷む原因になったり、浸水した水が別の箇所からしみ出て漏水の原因にもなります。できるだけ早期の貼り替えをお勧めします。
タイルが浮いて下地との間に空洞ができると、内部に水が浸透するおそれがあります。重症化すると、ひびが入ったり、タイルがはがれ落ちたりする危険性も。早めにエポキシ樹脂注入やタイル貼り替えなどの対策をしましょう。
塗装面の白っぽい汚れは、塗料が紫外線などで変成したことによる「チョーキング」と呼ばれる現象です。浸水などの心配はそれほどありませんが、見栄えには大きく影響します。資産価値を高く保つためには、長期間放置せず、チョーキング除去と塗り替えをお勧めします。
窓枠の角など、雨水が滴るような箇所は、他の箇所に比べて汚れやすいものです。しかし、そのような原因のない箇所が汚れている場合は要注意。単なる汚れではなく、内部で水漏れなどの問題が起きている可能性もあるため、専門家による診断を受けることが望ましいでしょう。
水漏れは、建物の鉄骨を腐食させる危険性もあり、緊急度は「別格」と言っていいほど高い症状。
今すぐの対策をおすすめします。